国際コーチング連盟(ICF)は、コーチングを「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」と定義しています。この定義はICF ACC試験の出題範囲に含まれ、試験全体の30%を占める「コーチングの定義と境界線」の領域で扱われます。ICF倫理規定にも同じ文言が記載されています。また、ICFが公開しているACC試験のサンプル問題のうち2問は、この定義への理解を問うものです。
重要なポイント
- ICFはコーチングを、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことと定義しています。
- この定義の文言は、2020年版と2025年版のICF倫理規定で同じです。
- 「コーチングの定義と境界線」はICF ACC試験の30%を占めます。ICFはこの領域に「コーチングの定義の習得」を含めています。
- コア・コンピテンシーは、コーチングとは何で、何でないのかを説明すること、そしてコーチングをコンサルティングや心理療法と区別することをコーチに求めています。
- ICFのACCサンプル問題のうち2問は、コンサルティングやファシリテーションとの比較を通じて、この理解を問うものです。
ICFによるコーチングの定義
ICFはコーチングを次のように定義しています。
「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」
この定義は、ICFの次の3つの資料で確認できます。
- ICF公式サイトのAbout ICFページ(「Who Is ICF?」の項目)。
- 2020年版ICF倫理規定の「主要な定義」のセクション。ACC試験で使用されているのはこの版です。2025年版ICF倫理規定も同じ定義を用いています。
- ICFの「クライアントをセラピーに紹介するためのガイド」。コーチングと心理療法の違いを説明する前に、この定義を紹介しています。
コア・コンピテンシーと倫理規定におけるコーチング
ICFのコア・コンピテンシーと倫理規定は、コーチングをわかりやすく説明し、職業としての境界線を守ることをコーチに求めています。
ACC試験で使用されているのは2019年版ICFコア・コンピテンシーです。ICFはこのモデルの序文で、重視するテーマの一つとして「コーチとクライアントに求められる適切な関係性」(英語原文は「the criticality of partnership between coach and client」)を挙げています。
以下のコンピテンシーと基準は、コーチが自らの仕事をどう説明し、職業上の境界線をどう守るかを定めています。
| ICFの資料 | 文言 |
|---|---|
| コンピテンシー3「合意の確立と維持」の定義 | 「コーチングの関係、プロセス、計画的および目標に関して明確に合意するために、クライアントおよび関連する利害関係者と協力している」 |
| コンピテンシー3、マーカー1 | 「コーチングとは何で、何でないのかを説明し、クライアントと関連する利害関係者にプロセスを説明している」 |
| コンピテンシー1「倫理に基づいた行動をしていることを示している」、マーカー6 | 「コーチング、コンサルティング、心理療法、その他の支援的職業とを区別し続けている」 |
| コンピテンシー1「倫理に基づいた行動をしていることを示している」、マーカー7 | 「必要に応じて、クライアントに他の支援的職業の専門家を紹介している」 |
| 2020年版倫理規定、基準1 | コーチは、初回または事前に、クライアントとスポンサーに対し「コーチングとは何であり得られうる価値は何か」を説明し、その理解を確実にする。 |
倫理規定は、この説明を初回の面談より前、または初回の面談の場で行うことをコーチに求めています。「合意の確立と維持」のコンピテンシーを解説した記事では、この対話がコーチングの合意の一部としてどう位置づけられるかを説明しています。
ICF ACC試験ではコーチングの定義がどう問われるか
ICFのACC試験ページによると、試験は次の3つの領域で構成されています。
| ACC試験の領域 | 出題比率 |
|---|---|
| コーチング倫理 | 30% |
| コーチングの定義と境界線 | 30% |
| コーチングのコンピテンシー、戦略、およびテクニック | 40% |
ICFは「コーチングの定義と境界線」の領域に、「コーチングの定義の習得」を明示的に含めています。
試験は、4つの選択肢から1つを選ぶ多肢選択式の60問で構成されています。試験時間は任意の10分間の休憩を含めて90分で、合格点は200〜600のスケールで460点です。
予約方法、試験形式、採点の仕組みについては、ICF ACC試験ガイドで解説しています。
この定義は、PCC試験とMCC試験にも関わります。ICFのPCC・MCC試験ページには、試験で「ICFのコーチングの定義、ICFコア・コンピテンシー、ICF倫理規定を適用する能力」が評価されると記載されています。
コーチングの定義に関するICFのサンプル問題
ICFが公開しているACC試験のサンプル問題のうち2問は、コーチングの定義と、ほかの専門的な活動との違いを扱っています。
以下に、問題とICFが正解としている選択肢を示します。
コーチングとファシリテーションの主な違いは何ですか?
- A) コーチングは直接的な助言を含むが、ファシリテーションは質問をすることに焦点を当てる。
- B) コーチングは主に個人的な成長のためのものだが、ファシリテーションはプロフェッショナルな場でのみ行われる。
- C) コーチングは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を最大限に発揮できるよう支援するものであり、ファシリテーションはグループでの議論を導くものである。
- D) コーチングの実践にはライセンスが必要だが、ファシリテーションには必要ない。
正解の選択肢には、ICFの定義にある「思考を刺激し続ける創造的なプロセス」という表現が使われています。
クライアントが、新しい困難な課題をどのように遂行すべきかについてコーチに助言を求めました。コーチが取るべき最良の行動は何ですか?
- A) 求められた助言をクライアントに与える。
- B) クライアントが上司に助言を求めることを提案する。
- C) コーチングセッションの後に、クライアントが検討できるいくつかの戦略を記載したメールを送る。
- D) コーチングとコンサルティングの違いを説明し、一緒に探究できる戦略を特定するようクライアントをいざなう。
正解の選択肢は、ICFの定義が示すパートナー関係を反映しています。コーチはコーチングとコンサルティングの違いを説明したうえで、考えられる戦略を一緒に探究するようクライアントをいざなっています。
これは、コーチングとは何で、何でないのかを説明するようコーチに求めるコンピテンシー3のマーカー1にも関連しています。
コーチングとほかの支援的職業
ICFはこの試験領域を「コーチングの定義と境界線」と名づけています。
コンピテンシー1のマーカー6と7により、コーチはコーチングをコンサルティング、心理療法、その他の支援的職業と区別しなければなりません。また、必要に応じてクライアントを他の専門家に紹介することも求められます。
ICFは「クライアントをセラピーに紹介するためのガイド」でさらに詳しい指針を示しており、クライアントのニーズがコーチングの範囲を超えるのはどのような場合かを説明しています。
この領域の学習リソース
ICFがACC試験ページで挙げている学習リソースには、次のようなものがあります。
- 2019年版ICFコア・コンピテンシー
- ACC資格レベルのコーチング評価基準(ICF ACC Minimum Skills Requirements)
- 2020年版ICF倫理規定
- コーチングのクライアントをセラピーに紹介するためのICFのガイドライン
- Pearson VUEが提供する無料のACC試験チュートリアル
無料のICF ACC練習テストで練習することもできます。現行の知識ベース形式の問題10問を収録し、各解答の根拠を解説しています。
より体系的に準備したい方には、ICF ACC試験対策コースがおすすめです。すべてのICFコア・コンピテンシーと倫理規定を詳しく扱い、176枚のスマートフラッシュカードと、計240問を収録した本番形式の模擬試験4回分も含まれています。
ICFによるコーチングの定義に関するよくある質問(FAQ)
ICFによるコーチングの定義とは?
ICFによるコーチングの定義は、「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」です。
コーチングとは何ですか?
国際コーチング連盟(ICF)によると、コーチングとは「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」です。ICFは、資格取得を目指す受験者がこの定義を理解しているかを試験で確認しています。
コーチングの定義はICF ACC試験に出題されますか?
コーチングの定義はICF ACC試験の出題範囲に含まれています。ICFは「コーチングの定義の習得」を、試験全体の30%を占める「コーチングの定義と境界線」の領域に位置づけています。
2025年版の倫理規定で、ICFのコーチングの定義は変わりましたか?
2025年版の倫理規定でも、ICFのコーチングの定義は変わっていません。2020年版と2025年版はどちらも同じ文言を使っています。なお、ACC試験で使用されているのは2020年版の倫理規定です。
ICFはコーチングの定義をどこで公開していますか?
ICFは、コーチングの定義を3つの資料で公開しています。公式サイトのAboutページ、ICF倫理規定の「主要な定義」のセクション、そしてクライアントをセラピーに紹介するためのガイドです。
